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20代 女 オタク

ニンゲン御破算

ニンゲン御破算千秋楽を迎えたみたいで、、おめでとうございます。そしてありがとうございます。シンプルにまとめるといや本当に面白かった。はぁあ面白かった。

というわけでネタバレありきに感想を、、

大人計画って個人個人の役者さんは好きなんですが劇団自体のスタンスが若干ダークな笑いというかアングラな部分を扱ってせせら笑うみたいなそういうノリは嫌いじゃないんだけどそういう俺たちかっけえだろ?みたいな部分を公式が醸し出してくるのはどうも苦手でなんとなく食わず嫌いをしていたんですが岡田将生さんの時代モノを見ずに死ねるもんですかと思い完全に岡田将生さん目当ての不純な動機でチケット申し込んだんですね。


だけど!!!!

松尾さん天才なの??鬼才???

なんでわたしは今までちゃんと見てこなかったの、、大人計画を、、と後悔させられるまでに。


まずは脚本の伏線回収のうまさに圧倒されました。祝言挙げられそうになる実之介が母親にうつつを捻じ曲げてあんまりにも無理な話じゃないかと諭す場面や周りからおっさんて言われるとギャグみたいにキャラ変わってキレ出す場面がまさか実之介が女だったってオチにつながるとは思いもしなかった。


個人的にめちゃくちゃ共感したキャラが阿部サダヲさん演じる主人公・実之介と多部ちゃん演じるお吉。実之助は芝居の脚本を書くのにずっと四苦八苦していて「世間の方が自分の芝居より遥かに面白すぎて追いつかない」と黒人のトムとボブに吐露するシーンや散々御上に背を向けて無茶苦茶でご法度な芝居を書いた癖に「褒められたい!」と南北先生や黙阿弥さんに迫る部分は作り手側の苦悩を知ってる人だからこそ書けるセリフなのかなぁ。私も大学で制作をかじっている人種で余計に実之助に共感する部分がある。本来制作者には世間が変わる何かを作りたい!とか世間にこういうことを伝えたい!とか強い思いがある人こそが向いてるんだろうけど自己承認欲求1000%の私は「なんかかっこいいっしょ?でしょ!?なぁ褒めて!?」というモテたくてバンド始めちゃいましたみたいなノリの男子高校生と同じ思考回路の凡人だから実之介が自分が空っぽだと嘆くシーンは本当に泣いてしまった。わかりすぎて。

お吉に関してはすごく察しが良くていい女で甲乙逆転の術とかいう甲と乙を入れ替えることができちゃう技を持ってるのに捨て子で村の男たちから性的な行為をさせられてたこととかから自尊心がめきめき下がっちゃってる不憫の極みみたいなヒロインなんですけどまたそれを多部ちゃんが明るく演じてるのが逆に切ない。泣けないから笑ってるけど本当は心で泣いてんだろうなぁこの人、、って感じで、、

そんなお吉がラスト直前の戦さ場のシーンお願いしますのお吉の最後のお願いだ!って叫ぶお願いがどういう形で叶ったかは詳しくわからないけど明治になってドレスを着て立ってるお吉の顔は今までの無理した笑顔じゃなくて本当の笑顔みたいな気がして嬉しかった。毎回舞台でこの難しい微妙な表情の差を表せる多部ちゃん本当にすごいです。圧巻、、


ニンゲン御破算に出てくる人たちはみんな何かしら人間の真っ当な生き方を諦めてたりそもそもはじめから真っ当なんか生きてなかったりそういう人しかいないんだけど強い生命力みたいなのをみんなに感じた。生きてるだけで丸儲けみたいな明石家さんまイズムを醸し出してるっていうか、、。とにかく三時間超のあの芝居を飽きることなく見れたのは松尾さんのヤバすぎる発想力と役者さんの最高の演技が創り出してくれたからこそ。最高のお芝居に財布は御破算寸前ですが充実感半端ないんだから実質タダだよね??あ、岡田将生さんについては次にまた書きたいと思います!!!